週刊ザコいおたく

早稲田大学初のおたく情報誌を刊行するサークル「ギークタイムズ編集部」の公式ブログ兼電子版です。毎週金曜日に更新します。

オタサーの姫についての覚書

年が明けて以来、新入生によるサークル選びが始まった影響からかオタサーの姫という言葉を耳にする機会が増えているように思う。オタサーの姫は一般的に男性の構成員数が多いおたくサークルに所属する少数の女性の俗称である。しかし、この言葉が用いられる際には常に一定のニュアンスが含まれることを忘れてはならない。それはおたくサークルの男性を狂わせ、最悪の場合サークルを崩壊へ追い込むサークルクラッシャー(自身の所属サークルを破壊する構成員)としての彼女たちへの眼差しである。つまり、“オタサーの姫”という語が用いられるとき、そこには「傾国」であるとか「ファム・ファタール」のような意味合いが暗に含まれているのだ。したがって、“オタサーの姫”に対する世間の認識は概してサークルクラッシュの原因を彼女たちへ還元するものである。たしかに、自我を肥大化させた女性の自意識の暴走(以下では便宜上“メンヘラ”と呼ぶ)は見るに堪えないし、それが組織に及ぼす禍は甚大だ。しかし、ここで注意しなければならないのは“オタサーの姫”の存在は当然おたくサークルに特有のものであって、アカデミックサークルやスポーツサークル、子育てサークル等には見られないものであるという点だ。言うまでもなく“メンヘラ”は広く女性、或いは人類一般に分布する性質であり、おたくサークルの女性に特有のものではない。よって、“オタサーの姫”という概念が登場する背景にはおたくサークルに特有な何かしらの性質が措定されるのである。

(編集員A)